4%のパフォーマンス向上は『ずるい』か

先日、ナイキがヴェイパーフライを発売し、日本でも着々と売り上げを伸ばしてきている。生産が間に合わず品薄状態が続いているようで、ますますレア感を増しているのもさすがナイキといったところだ。Screenshot 2017-12-02 10.42.15.png

さて、今回のシューズがこれほどまでに人気なのには理由がある。それは単純で、『速く走れるから』。ソールに使われているカーボン素材がバネとなり、推進力を生み出すとのこと。これが「ずるい」かどうかで一部議論があるようだ。

ニューヨークタイムズのベストセラー「The Sports Gene」を書いたDavid Epsteinは、最近のスポーツ記録の向上は主に三つの理由だと語った。一つがメンタリティの向上(一人が100m9秒で走れると、二人目からは極端に容易になるという)、一つが人口増加による体型の極端化(昔より背の高い選手、足の長い選手、またはその逆など)、そして最後はテクノロジーだとのことである。

要は、メンタルの向上と一部の明らかに特化した体型を持つ選手以外のほとんどは、テクノロジーによる記録の向上だと言い換えても良い。すなわち、速くなっているのは自転車競技で言えば抵抗が少なくなったからであるし、水泳であれば高速水着であるし、陸上であればタータントラックの向上やシューズの変化であるということを述べている。タータントラックと特注スパイク無くしてウサインボルトは生まれなかったし、高速水着無くしてマイケルフェルプスは生まれなかったわけである。


-David Epstein のTEDでのプレゼン

スポーツには、二つの戦いがある。対人による勝負と、記録による勝負。ボルトが圧倒的にファンを虜にしたのは、この二つの勝負にどちらも勝ってきたからである。もしこの片方が、すなわち記録の更新がもう見られないとしたら、それとてもさみしいし、ファンとしては見ているのがつまらないわけだ。桐生選手が日本人初の9秒台を出した時、手に汗握った陸上ファンがどれだけいただろうか。それが仮にテクノロジーの変化で速くなったとしても、見ている側としては、面白いのである。

3000本安打を打った時、イチローが「なぜ泣いていたのですか?」という記者の質問に対してこう答えた。「そんな答えを詮索するのは全くの無粋ですよ。騙されていればいいんですよ、騙されて楽しんでいるのが、いいわけでしょ。」

Screenshot 2017-12-02 10.40.53.png

 

アスリートは、自分の体の状態、心の状態をよくわかっている。それがもしテクノロジーのおかげで速くなっているとしたら、選手はそれを一番に察する。観客が「ずるい」というのは、イチローの言葉を借りれば「手品の種明かしをしたがる」ことなのかもしれない。

ようするに、つらつらと書き連ねましたが、今はこの新たなテクノロジーを、見守っていようではないかと、思うわけでした。

 

p.s ところでイチローも特注のフラットシューズ、ボルトも裸足時代があってからのテクノロジーの利用なので、最初からテクノロジーを利用する(特に体の成長がまだある世代)のには賛成しない。多くの選手は裸足でのトレーニングや地道な距離走が必要であることに変わりはない。

広告
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。
search previous next tag category expand menu location phone mail time cart zoom edit close